シエラの桜庭

創作小説を書いたり、日々思うことを書き綴ったり。

創作小説

【オリジナル短編小説作品】はつ雪

吐く息を、視認することができるようになった。 白い靄のように、目の前に広がる。 こんな季節はただでさえ人恋しくなるものだ。 身体の奥まで冷えるような寒さは、この地方独特のものだろう。 肌を切り刻むような低温に身が震える。 僕は吐息で指先を温めた…

【オリジナル短編小説作品】 雨と思い出

何年か前、本格的に小説を書き始めた頃の作品を引っ張り出してきました。 「雨」というテーマでふとそんな作品も書いたなあと思い出して。 当時もらった感想をもとに、少しだけ加筆しています。

【短編創作小説】わかばに関する初めての恋について ―のべらっくす第8回―

第7回の「未来」をテーマにした作品に、たくさんの方が感想をくださって嬉しかったです。ありがとうございました。 私の方からはいくつかの作品にしか感想を送ってませんね。すみません。 感想って苦手なんですよね……。 「面白かった」以上の言葉がなかなか…

【オリジナル短編小説作品】 change

二人は向き合っていた。そして、目の前にあるものが信じられないでいた。 「ちょっと……冗談じゃないんですけど。あたし、今日大事な日なんですけど!」 スーツ姿の若い男がそう口にした。 「それはこっちのセリフ。俺だって、今日は大事な日なんだ!」 高校…

【短編創作小説】message ―のべらっくす第7回―

第7回にして初めて参加します。 未だにこのはてなブログの使い方がよくわかっていないのですが、そんな状態なのに参加します。 短編と言いつつ、投稿規定の5000字ギリギリくらいなので、ちょっと長めです。Wordで書いたら4ページくらいになりました。 書い…

【オリジナル短編小説作品】星域「春の嵐」にて。

「春の嵐」。 Wー08星系のこの忌々しいデブリ帯に、そんな情緒豊かなネーミングをした科学者は、既にこの世にいない。 私たちは故郷のラピニュス星を離れ、祖先の故郷である、銀河系の地球という星に向かっている途中だ。その長い長い旅路で、私と共に宇…